ドラフト戦術論4:アラーラ・ドラフトの攻略
2008年11月10日 TCG全般 コメント (3)08.11.09
物凄い回数の1没を繰り返し、ようやく「閃き」がやってきました。
全く勝てなかった理由・・・問題は、アラーラ・ドラフトの「ゲーム展開」が全く読めてなかったこと、「プレイング」が相当に間違っていたということにようやく気づきました。これまで、3色というドラフトピックに惑わされていましたが、私の問題はそこではなかったと。
私はローウィンに入ったときも、全く勝てなかった時期がありました。それは、ローウィンのドラフトが、それまでのブロックのドラフトとかなり違っていたのに気づかなかったからだったのですが、今度のアラーラのドラフトのゲーム展開は、そのローウィンとはまた違う、むしろ古典的な10版などのドラフトに回帰した・・・というより、10版ドラフトのベクトルをより尖らせた感じである、と。
アラーラでは、デッキ構築だけでなく、プレイングも劇的に変える必要があったのです。
ローウィン&シャドウムーアは、これまでのドラフトの環境の中でも異例の、最も「テンポ重視」の環境でした。その「テンポ」に加えて、ローウィンでは、カード1枚1枚はそんなパワーはないものの、「種族」というシナジーがデッキの質を決めるということ。対してシャドウムーアでは、数少ないキーとなるパワーカードを「色」を絡めてどれだけデッキに詰め込めるかという違いがありましたが、この2つの環境では、基本的にどのデッキもビートダウン系で、とくにシャドウムーアでは、コントロール系のデッキを組むことは非常に稀でした。
・・・古典的なドラフトでは、ビートダウンvsコントロールという狙いの違いがはっきりしているものです。その中で、テンポが要のデッキといえば、白青でシステムクリーチャーがあまりピックできなかったとき組む飛行ビートダウンだったり、隣席の人のピックの狭間になって、赤黒白の除去がとれなくて仕方なくできる、緑青のマナ加速&熊&飛行&デカブツ&バウンスという、残念な緑青デッキ(→10版ドラフトでは強いですが)くらいなものです。もちろんどのデッキもテンポは大事ですが、「テンポが少しでも悪いときは即死」という意味で、この2つのデッキをあげました。白赤や緑赤は生物の質が小粒に集まって均等なので、「デッキが回る」確率は、失敗白青や緑青よりは高いです。
以上の論の是非はともかく、私がここで何が言いたいかというと、アラーラではローウィンやシャドウムーアで大事であった「テンポ」の流れは後退し、「スーパーコントロール」の環境であるのではないか?ということです。
今は基本的にはナヤが人気、そして上級者の間ではエスパーが人気のようです。ビートダウンvsコントロールの縮図は、この2勢力にあるのでは?と指摘される方もいるかもしれません・・・。テンポアドバンテージvsカードアドバンテージという視点でみれば、その通りであると思われます。
しかし・・・。アラーラでは、今までのブロックにない、新しい秩序があります。その秩序とは・・・「弱いカードを頑張って使う!!」という必要がないということです。
私は「除去したい対象がキリがない」というはじめての体験にずっと戸惑って解答を見つけ出せずにいました。しかし、惨敗の中で、ようやく光を見つけました。
敗因は、3色でデッキがうまくつくれなかったからではなく、自分のプレイングにあったか!!
以下に新しい秩序の中でのプレイングの例を紹介します。
-----------------------------------------------------------------------
試合開始から数ターン後、対戦相手と私はお互いカードを消耗し合い、自分(ライフ20)グリクシスデッキの場には黒赤「ゴブリンの死の略奪者」3/1トランプルが1体、相手はナヤデッキ(ライフ10)には、キャストしたばかりの緑「野生のナカティル」3/3が場にあった。自分の手札は2枚でインスタント除去・青黒「苦悶の捻れ」と黒3/3「臓物を引きずるもの」があり、相手の手札は残り2枚。もちろん3/1ゴブリンでアタックすると、ライフの少ない相手はナカティルでブロック。そこで、何を思ったか、レーティング1760の相手は、ダメージスタック前に緑「圧倒する咆哮」(サイクリングなし)をキャスト。ダメージスタック前なら、レスポンスで青黒「苦悶の捻れ」を打てば、2対1交換。このターンでさらに「臓物を引きずるもの」をキャストすれば、パワー3の生物2体というクロックを展開することができる。こちらがビートダウン中でもあり、ノータイムで「苦悶の捻れ」を打とうと土地をタップしてマナを出した・・・。
しかし、アラーラでは、このプレイは大間違いなのです。すでにそのことに気づいていた私は、あわててAlt+Uでタップしたマナを戻し、スルー。相手の場にナカティルが残り、私は黒「臓物を引きずるもの」をキャストし、ゴーを宣言。
結局その後どうなったかというと、相手は手札1枚の状況から、翌ターン緑レア3/3「髑髏覆い」(貪食なし)、さらに翌ターン赤白・警戒速攻5/5「猛きセロドン」、さらに次のターンに2体目の「猛きセロドン」というトップデック。しかしその連続してキャストされる大型生物を、手札に温存した「苦悶の捻れ」と、こちらもトップデックした神話レア黒赤青5/5「裏切り者の王セドリス」でセロドンの壁を破って勝利。
-------------------------------------------------------------
「スーパーコントロール」とは、状況にもよるが、クロックのために除去は使ってはならないということ。自分の場にある生物が対処できない生物のために除去は温存するのであって、相打ちできるならば、こちらの生物がそこそこ性能よくてもそれを守らないプレイが必要。必ず相手は今よりももっとヒドイ化け物をキャストするし、自分ももっと良いクリーチャーをトップデックすると考えるということです。
それに気づいたとき、ゲームの流れが全て読め、なにがデッキに必要なカードで、どんな優先順位でピックするかということも、自分の中でコントロールできるようになりました。
例えば、テンポ重視のカード、白「破門」などは価値が下がるということです。(皆さんは気づいていらっしゃるでしょうが)
というわけで、以上のようなプレイングを修正するようになって、すぐに結果もついてきました。参考になれば幸いです。
----------
■グリクシス・蘇生コントロール
対戦:3勝 / ①○-×-○(1760) ②○-×-○(1790) ③×-○-○(1730)
評価:カードパワーB、デッキバランスB、プレイングA、運B
・初手、青レア・ドロースペル「精神の誓約」か、黒「処刑人の薬包」で後者。
・蘇生中心。
・土地は基本土地(沼6、島5、山6)+オベリスクのグリクシス。全景をとれなかっ
たのは痛い。
・呪文のバランスは良く、対戦では、事故らなかったときの試合を全て勝てたのがよか
った。多少事故ったときも、相手もややまわらなかったときは、コントロール力で勝て
るというところが勝率を上げた。
----------
■ジャンド・蘇生&貪食コントロール
対戦:3勝 / ①○-×-○ ②○-×-○ ③○-○
評価:カードパワーS、デッキバランスB、プレイングB、運B
・初手、神話レア黒赤緑「ヘルカイトの首領」。重くてもOK。
・2手目、黒「処刑人の薬包」。黒赤タッチ緑狙い。
・その後、黒緑タッチ赤の形に。強力アンコ「ジャンドの魔よけ」や強力レア「卓越の印象」もゲット。
・相手のデッキも強かったり、眠い中で細かいミスプレイもあって一筋縄にはいかなかったが、ゲームの流れを読めていたので、終始自分のコントロール化でプレイできた。
物凄い回数の1没を繰り返し、ようやく「閃き」がやってきました。
全く勝てなかった理由・・・問題は、アラーラ・ドラフトの「ゲーム展開」が全く読めてなかったこと、「プレイング」が相当に間違っていたということにようやく気づきました。これまで、3色というドラフトピックに惑わされていましたが、私の問題はそこではなかったと。
私はローウィンに入ったときも、全く勝てなかった時期がありました。それは、ローウィンのドラフトが、それまでのブロックのドラフトとかなり違っていたのに気づかなかったからだったのですが、今度のアラーラのドラフトのゲーム展開は、そのローウィンとはまた違う、むしろ古典的な10版などのドラフトに回帰した・・・というより、10版ドラフトのベクトルをより尖らせた感じである、と。
アラーラでは、デッキ構築だけでなく、プレイングも劇的に変える必要があったのです。
ローウィン&シャドウムーアは、これまでのドラフトの環境の中でも異例の、最も「テンポ重視」の環境でした。その「テンポ」に加えて、ローウィンでは、カード1枚1枚はそんなパワーはないものの、「種族」というシナジーがデッキの質を決めるということ。対してシャドウムーアでは、数少ないキーとなるパワーカードを「色」を絡めてどれだけデッキに詰め込めるかという違いがありましたが、この2つの環境では、基本的にどのデッキもビートダウン系で、とくにシャドウムーアでは、コントロール系のデッキを組むことは非常に稀でした。
・・・古典的なドラフトでは、ビートダウンvsコントロールという狙いの違いがはっきりしているものです。その中で、テンポが要のデッキといえば、白青でシステムクリーチャーがあまりピックできなかったとき組む飛行ビートダウンだったり、隣席の人のピックの狭間になって、赤黒白の除去がとれなくて仕方なくできる、緑青のマナ加速&熊&飛行&デカブツ&バウンスという、残念な緑青デッキ(→10版ドラフトでは強いですが)くらいなものです。もちろんどのデッキもテンポは大事ですが、「テンポが少しでも悪いときは即死」という意味で、この2つのデッキをあげました。白赤や緑赤は生物の質が小粒に集まって均等なので、「デッキが回る」確率は、失敗白青や緑青よりは高いです。
以上の論の是非はともかく、私がここで何が言いたいかというと、アラーラではローウィンやシャドウムーアで大事であった「テンポ」の流れは後退し、「スーパーコントロール」の環境であるのではないか?ということです。
今は基本的にはナヤが人気、そして上級者の間ではエスパーが人気のようです。ビートダウンvsコントロールの縮図は、この2勢力にあるのでは?と指摘される方もいるかもしれません・・・。テンポアドバンテージvsカードアドバンテージという視点でみれば、その通りであると思われます。
しかし・・・。アラーラでは、今までのブロックにない、新しい秩序があります。その秩序とは・・・「弱いカードを頑張って使う!!」という必要がないということです。
私は「除去したい対象がキリがない」というはじめての体験にずっと戸惑って解答を見つけ出せずにいました。しかし、惨敗の中で、ようやく光を見つけました。
敗因は、3色でデッキがうまくつくれなかったからではなく、自分のプレイングにあったか!!
以下に新しい秩序の中でのプレイングの例を紹介します。
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試合開始から数ターン後、対戦相手と私はお互いカードを消耗し合い、自分(ライフ20)グリクシスデッキの場には黒赤「ゴブリンの死の略奪者」3/1トランプルが1体、相手はナヤデッキ(ライフ10)には、キャストしたばかりの緑「野生のナカティル」3/3が場にあった。自分の手札は2枚でインスタント除去・青黒「苦悶の捻れ」と黒3/3「臓物を引きずるもの」があり、相手の手札は残り2枚。もちろん3/1ゴブリンでアタックすると、ライフの少ない相手はナカティルでブロック。そこで、何を思ったか、レーティング1760の相手は、ダメージスタック前に緑「圧倒する咆哮」(サイクリングなし)をキャスト。ダメージスタック前なら、レスポンスで青黒「苦悶の捻れ」を打てば、2対1交換。このターンでさらに「臓物を引きずるもの」をキャストすれば、パワー3の生物2体というクロックを展開することができる。こちらがビートダウン中でもあり、ノータイムで「苦悶の捻れ」を打とうと土地をタップしてマナを出した・・・。
しかし、アラーラでは、このプレイは大間違いなのです。すでにそのことに気づいていた私は、あわててAlt+Uでタップしたマナを戻し、スルー。相手の場にナカティルが残り、私は黒「臓物を引きずるもの」をキャストし、ゴーを宣言。
結局その後どうなったかというと、相手は手札1枚の状況から、翌ターン緑レア3/3「髑髏覆い」(貪食なし)、さらに翌ターン赤白・警戒速攻5/5「猛きセロドン」、さらに次のターンに2体目の「猛きセロドン」というトップデック。しかしその連続してキャストされる大型生物を、手札に温存した「苦悶の捻れ」と、こちらもトップデックした神話レア黒赤青5/5「裏切り者の王セドリス」でセロドンの壁を破って勝利。
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「スーパーコントロール」とは、状況にもよるが、クロックのために除去は使ってはならないということ。自分の場にある生物が対処できない生物のために除去は温存するのであって、相打ちできるならば、こちらの生物がそこそこ性能よくてもそれを守らないプレイが必要。必ず相手は今よりももっとヒドイ化け物をキャストするし、自分ももっと良いクリーチャーをトップデックすると考えるということです。
それに気づいたとき、ゲームの流れが全て読め、なにがデッキに必要なカードで、どんな優先順位でピックするかということも、自分の中でコントロールできるようになりました。
例えば、テンポ重視のカード、白「破門」などは価値が下がるということです。(皆さんは気づいていらっしゃるでしょうが)
というわけで、以上のようなプレイングを修正するようになって、すぐに結果もついてきました。参考になれば幸いです。
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■グリクシス・蘇生コントロール
対戦:3勝 / ①○-×-○(1760) ②○-×-○(1790) ③×-○-○(1730)
評価:カードパワーB、デッキバランスB、プレイングA、運B
・初手、青レア・ドロースペル「精神の誓約」か、黒「処刑人の薬包」で後者。
・蘇生中心。
・土地は基本土地(沼6、島5、山6)+オベリスクのグリクシス。全景をとれなかっ
たのは痛い。
・呪文のバランスは良く、対戦では、事故らなかったときの試合を全て勝てたのがよか
った。多少事故ったときも、相手もややまわらなかったときは、コントロール力で勝て
るというところが勝率を上げた。
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■ジャンド・蘇生&貪食コントロール
対戦:3勝 / ①○-×-○ ②○-×-○ ③○-○
評価:カードパワーS、デッキバランスB、プレイングB、運B
・初手、神話レア黒赤緑「ヘルカイトの首領」。重くてもOK。
・2手目、黒「処刑人の薬包」。黒赤タッチ緑狙い。
・その後、黒緑タッチ赤の形に。強力アンコ「ジャンドの魔よけ」や強力レア「卓越の印象」もゲット。
・相手のデッキも強かったり、眠い中で細かいミスプレイもあって一筋縄にはいかなかったが、ゲームの流れを読めていたので、終始自分のコントロール化でプレイできた。
コメント
黙って3/3を呼べば次のターンにクリーチャーを呼ばれても返しのアタックで《苦悶のねじれ》でアドバンテージ場取れるし、もし出さなくても相手が同じようにブロックしたら3点が入った上に3/1と3/3が場に残りますよ。
相手のナカティルが脅威ではない以上、特に相手のナカティルを除去するためのアタックに意味を感じませんでした。
1ターン殴るのを待つ場合、相手にクリーチャーが出て、2体1交換を取るために
こちらから苦悶のねじれを打つ必要があり(優先権はこちらなので)、スタックで圧倒する咆哮を打たれて計算が狂う可能性があります。
ただ普通はダメージスタック後に野生の咆哮を使うので、野生の咆哮を相手が持っていると予想できれば、殴るかどうかは微妙なとこですね。
これらは全て相手の手札がわかった上での結果論ですが、相手ライフ10で臓物を引きずるものが手札にある状況でこちらがグリクシスで相手がナヤなら、僕はアタックに行くと思います。
相手ライフが15より上の場合、殴らず1対2交換を確実に取れる場面を狙いますけど。
やっぱりなるべく簡潔に書きたいということで、ななしさんにも私の状況説明が足りなかったと思うのですが、有利な状況とはいえ、所詮は3/1・・・。いくら場に残っても、次に1/1とか出されたら、それだけで攻撃が止まってしまう。と考えると「ナカティル」との交換、もしくは「圧倒する咆哮」の1対1交換は悪くないと思いました。押している状況だからこそ、相手にブロックさせるという、相手のプレイに選択肢を与えない有利な状況がなせる業ですが・・・。
最悪なのは、受け身に回るプレイで「苦悶の捻れ」で除去するつもりが、「圧倒する咆哮」でレスポンスされて計算が狂ってしまうことです。
また思ったのは、相手が手札と相談(自分の切り札を守るために)し、「苦悶の捻れ」の無駄遣いを誘発させるように「圧倒する咆哮」をスタック前に打ったのだとしたら、かなり上級なプレイだと思いました。チャンスがあったら自分でもやってみようかと(笑)。でも、たぶん、その後のブロックの仕方とか見ると、技術的な読みが足りなかっただけのようだったです。rating 1760とはその程度でしょうか?
とりあえず私はだいぶアラーラの苦手感がなくなったので、これから徐々に反撃していくつもりです。お互いプレイ持論を展開させて上達できればと思います!!
はま教授のまえ言ってくれたように、グリクシスでは黒「死体の鑑定人」が思った以上に重要なカードであることがよくわかりました。